VERSANTとTOEICの違いを徹底比較!スコア換算・ビジネス英語力を測るならどっち?
「英語力を測定する試験」といえば、多くの方がTOEICを思い浮かべるかもしれません。
しかし近年、英語力を測る試験として、VERSANTが注目を集めています。
VERSANTは、主にスピーキング能力の測定を目的とした試験となっており、外資系企業や英語を使用する職場での導入が日々増加しているのです。
そんな今注目のVERSANTですが、「これまで英語試験として広く活用されてきたTOEICとはどんな違いがあるの?」といった疑問や「VERSANTとTOEIC、どちらを受験すべきかわからない…」といった悩みを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、VERSANTとTOEICの違いを徹底比較し、それぞれの試験がどのような方に向いているのかをご紹介します。
また、ビジネスで求められる英語力の観点から、どちらの試験が有利なのかについても詳しく解説していきます。
ぜひ最後までご覧いただき、参考にしてください。

VERSANTとTOEICとは?
英語力を測定する試験として、VERSANT(Speaking and Listening)とTOEIC(L&R)は多くの企業や教育機関で活用されています。
しかし、両者は「試験の目的」や「測定するスキル」が大きく異なります。
それぞれの試験の特徴を詳しく見ていきましょう。
以降「VERSANT」という表記は、「VERSANT English Speaking & Listening」のことを意味しています。
VERSANTとは?
VERSANT(Speaking and Listening)とは、Pearson社が開発した「ビジネスで使える実践的な英語力(スピーキング・リスニング)」を測るオンライン型の英語能力試験です。
AIによる自動採点システムを採用しており、試験時間も短いため、短時間で英語力を評価できます。
VERSANTの主な特徴:
- 試験の目的:スピーキング・リスニング能力の測定
- 試験時間:約20分
- 問題数:40問
- 問題形式:音声を聞いて話して回答する
- 受験方法:スマートフォン・パソコンで受験可能
- スコアの範囲:10~90点
VERSANTは、特にビジネス英語の即応力や発話の流暢さを測る試験として、多くの企業や英語を使用する職種で導入されています。

引用:https://school.nikkei.co.jp/nn/special/versant/casestudy/index.html
TOEICとは?
TOEIC(L&R)は、リスニング力とリーディング力を測定する試験です。
日本国内の企業では認知度が高く、就職や転職時の英語力証明として活用されています。
TOEICの主な特徴:
- 試験の目的:リスニング・リーディング能力の測定
- 試験時間:約120分
- 問題数:200問
- 問題形式:リスニング100問+リーディング100問(計200問のマークシート形式)
- 受験方法:全国の試験会場で受験
- スコアの範囲:10~990点
TOEICは、特に英語の読解力やリスニング能力を測る試験として、日本国内の企業や大学で広く導入されています。
VERSANTとTOEICの違い(基礎情報編)
①受験者を比較:どういった人が受験するのか
VERSANTとTOEICの受験者には、以下のような違いがあります。
- VERSANT:法人からの申し込みのみ
- TOEIC:個人での申し込みも可能
VERSANTは、グローバル企業や外資系企業で広く採用されており、海外駐在の基準(選抜試験)や、昇進の基準として使用されています。
一方、TOEICは大学生の就職活動や日本企業の昇進試験などで広く利用されており、日本国内での英語力のアピール手段として非常に知名度があります。
②試験日程と試験場所の違いを比較
VERSANTとTOEICでは、試験場所などに大きな違いがあります。
- VERSANT:24時間365日、スマートフォンまたはパソコンで受験可能
- TOEIC:指定日(年10回程度)に試験会場で受験
VERSANTは、スマートフォンまたはパソコンがあれば、24時間365日いつでも受験可能となっています。
また、自宅はもちろん、出張先や旅行先でも受験できるため、忙しい社会人や学生にとって非常に便利な試験です。
一方のTOEICは、年10回程度ある指定日から日程を選択し、試験会場で受験します。
③試験時間の違いを比較
VERSANTとTOEICでは、試験時間にも大きな違いがあります。
- VERSANT:約20分
- TOEIC:約120分
VERSANTは、わずか約20分で受験が完了します。
スマートフォンまたはパソコンからいつでも受験できるため、忙しい方でも気軽に受験できるというメリットがあります。
一方、TOEICの試験時間は約120分です。
VERSANTと比べると試験時間が長い上に、特定の試験日に試験会場に出向いて受験しなければいけないため、どうしても拘束時間が長時間になります。
④受験料を比較
VERSANTとTOEICの受験料は、以下のようになっています。
- VERSANT:6,600円(税込)
- TOEIC:7,810円(税込)
VERSANTとTOEICの受験料にはそこまで大きな差はなく、どちらも他の英語試験と比べると手頃な価格となっています。
たとえば、英検1級は12,500円(税込)、TOEFLは$195(約28,000円)ですので、VERSANTとTOEICは比較的受験しやすい価格です。
⑤受験可能回数の比較
VERSANTと TOEICは、どちらも多くの企業で昇進試験や海外駐在選抜試験などに活用されていますが、受験可能回数には違いがあります。
- VERSANT:1回のみ(企業で受験する場合※)
- TOEIC:何度でも受験可能
※VERSANTは、基本的に会社側から発行されたTINコードを使用して受験するため、受験可能回数は1回のみです。
ただし、企業によっては異なる可能性もあります。
VERSANTは、TOEICと違って何度も受験してスコアを上げていくことができないため、より難易度が高い試験だと言えるでしょう。
VERSANTとTOEICの違い(テスト内容編)
VERSANTとTOEICはどちらも英語力を測る試験ですが、評価するスキルや試験形式は大きく異なります。
試験 | 測定スキル | 主な特徴 |
VERSANT | スピーキング・リスニング | 実際の会話能力を重視し、英語の音声を聞いて、話して回答する試験 |
TOEIC | リスニング・リーディング | 英文の読解力やリスニング力を測る、マークシート形式の試験 |
VERSANT
VERSANTは、主にスピーキング能力を評価し、発音・流暢さ・文章構成力などを測定します。
試験時間は約20分、問題数は40問の試験です。
英語の問題音声を聞いて、話して回答する試験で、より実践的なコミュニケーション力が評価されます。
VERSANTの問題は、6つのパート(パートA〜F)で構成されています。

TOEIC
TOEICは、ビジネス英語のリスニング・リーディング能力を評価し、文法や読解力が求められます。
試験時間は約120分で、問題数は200問(リスニング100問+リーディング100問)です。
TOEICの問題は、全部で7つのパートに分かれています。
【リスニング】
Part1:写真描写(6問)
Part2:応答(25問)
Part3:会話(39問)
Part4:説明文(30問)
【リーディング】
Part5:短文穴埋め(30問)
Part6:長文穴埋め(16問)
Part7:長文読解(54問)
VERSANTのスコアごとの英語力
TOEICは日本での認知度が非常に高いため、スコアごとの英語力もなんとなくイメージしやすいかもしれません。
しかし、VERSANTの場合はなかなかイメージが湧かないという方が多いでしょう。
VERSANTは、総合スコア90点満点(10〜90点)の試験で、1点ずつGSEスコア(※)で採点されます。
(※)GSE(Global Scale of English)とは、Pearson社が設定しているグローバルに比較可能な英語能力の客観的指標。
引用:https://school.nikkei.co.jp/nn/special/versant/score/index.html
【スコア別難易度比較】
- 10〜21点|観光客レベル(A1⁺)
- 22〜29点|入門レベル(A1)
- 30〜35点|初級者レベル(A2)
- 36〜42点|準中級者レベル(A2⁺)
- 43〜50点|中級者レベル(B1)
- 51〜58点|準中上級者レベル(B1⁺)
- 59〜66点|中上級者レベル(B2)
- 67〜75点|準上級者レベル(B2⁺)
- 76〜84点|上級者レベル(C1)
- 85〜90点|熟練者レベル(C2)
10〜21点|観光客レベル
VERSANTスコアが10〜21点の場合、CEFRではA1⁺ランクに該当します。
限られた定型表現や基本的な単語を理解できるレベルです。
相手がゆっくり・はっきり話してくれれば、簡単な会話の内容をなんとか理解できます。
この段階だと、英語の基礎文法の知識や語彙力が不足しているレベルです。
22〜29点|入門レベル
VERSANTスコアが22〜29点の場合、CEFRではA1ランクに該当します。
基本的な単語やフレーズを使って、自分の名前や趣味などの簡単な情報交換が可能です。
相手の話し方がゆっくりであれば、シンプルな会話に対応できます。
30〜35点|初級者レベル
VERSANTスコアが30〜35点の場合、CEFRではA2ランクに該当します。
日常の身近な話題について、短い文章で自分のことを話すことができます。
語彙や文法は限られていますが、簡単な会話が可能なレベルです。
36〜42点|準中級者レベル
VERSANTスコアが36〜42点の場合、CEFRではA2⁺ランクに該当します。
日常的なテーマについての簡単な会話に参加でき、知っている単語を手がかりに、初めて聞く単語の意味もある程度推測が可能です。
ちなみに、日本人の平均スコアは40点なので、まずはこのレベルを目標にする方も多いそうです。
43〜50点|中級者レベル
VERSANTスコアが43〜50点の場合、CEFRではB1ランクに該当します。
身近な話題について、相手とやりとりしながら会話を続けられます。
自分の意見や理由もある程度の長文で伝えることが可能です。
VERSANT公式では、スコア43点を海外赴任目安ラインとして公表しています。
海外駐在を目指している方は、このレベルを目標にしましょう。
51〜58点|準中上級者レベル
VERSANTスコアが51〜58点の場合、CEFRではB1⁺ランクに該当します。
ある程度の複雑な話題にも対応でき、会話を自分からリードして展開していく力、会話を続ける力や応用力があります。
ちなみに、TOEIC900点台の方のVERSANTスコア平均は52点です。
59〜66点|中上級者レベル
VERSANTスコアが59〜66点の場合、CEFRではB2ランクに該当します。
抽象的なテーマや幅広い話題についても、情報を整理しながらある程度スムーズに説明できます。
英語での議論や説明もこなせるレベルです。
VERSANT公式では、スコア59点以上を「ビジネスで英語が十分に使える上級者」として位置付けしています。
仕事で英語を頻繁に使用するという方は、このレベルを目標にしてみてはどうでしょうか。
67〜75点|準上級者レベル
VERSANTスコアが67〜75点の場合、CEFRではB2⁺ランクに該当します。
自分の意見や考えをしっかり述べ、複雑な話題についても筋道立てて説明・応答することが可能です。
会話に深みを持たせられる力があります。
76〜84点|上級者レベル
VERSANTスコアが76〜84点の場合、CEFRではC1ランクに該当します。
専門的・学術的な内容を含む幅広いトピックについて、流暢かつ正確に話すことができ、自然な表現や複雑な構文も使いこなすことが可能です。
VERSANT公式では、スコア76点以上はほぼネイティブレベルと位置付けしています。
85〜90点|熟練者レベル
VERSANTスコアが85〜90点の場合、CEFRではC2ランクに該当します。
ほとんどすべての状況で、複雑な話題についても即座に正確かつ流暢に話せます。
ネイティブに近い高度な運用能力を持つレベルです。
VERSANTとTOEICのスコア換算
VERSANTとTOEICのスコア比較は、VERSANT公式が情報を公開しています。

引用:VERSANT公式
ただし、VERSANT公式はこの比較について「テストのスコア間の相関を保証するものではありません」と説明しているので、あくまで参考程度にしましょう。
ちなみに、TOEIC900点台の方のVERSANTスコア平均は52点で、CEFRのB1⁺レベルです。
TOEIC900点台であれば、本来であればもっと高いスコアが取れてもおかしくありません。

TOEIC900点台の英語力は?
ここで、VERSANTとTOEICを両方受験した方のスコア比較を見てみましょう。
日本経済新聞社の調べによると、VERSANTとTOEICを両方受験した方のスコアは、次のグラフの通りです。

例えば、TOEIC900点台の方のVERSANTスコア平均は52点で、CEFRのB1⁺レベルです。
先ほどのスコア比較を考えると、TOEIC900点台であれば、本来であればもっと高いスコアが取れてもおかしくありません。
この比較から、TOEICで高得点が取れたとしても、必ずしもVERSANTで高得点が取れるとは限らないこと、その理由として、TOEICでは測定できないスピーキング力(発音や流暢さなど)に課題を持っている人が多いことが言えますね。
ビジネスで求められるのはVERSANT・TOEICどっち?
では、ここまで読んでいただいた方の中には、「VERSANTとTOEIC、どちらに集中して勉強したらいいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
私がVERSANTとTOEICを調査した結果、
- 「VERSANT」で高得点を取れた方がビジネスシーンで有利
- 採用や昇進条件にTOEICを採用している企業なら「TOEICスコア」も必要
と言えると思います。
外資系企業やグローバル企業では、実際に業務で英語を話す能力が求められるため、TOEICよりもスピーキング能力を評価できるVERSANTが重視されるケースが増えています。
一方、日本企業では昇進や採用の条件として「TOEIC」を採用している場合も多く、その場合はTOEICを受験せざるを得ません。
「今後、仕事で英語を使っていきたい方」や「現在、仕事で英語を使う頻度が多い方」は、TOEICの学習をする中でもアウトプットを意識して学習していきましょう。
VERSANTで目標にすべきスコア
VERSANTをこれから受験するという方は、次のように目的ごとに目標スコアを設定してはどうでしょうか。
- まずは日本人平均を目指す:40点(A2⁺レベル)
- 海外駐在できるレベルを目指す:43点(B1レベル)
- 英語で仕事をする上で困らないレベルを目指す:59点(B2レベル)

VERSANTを採用している企業
VERSANTを採用している企業を一部紹介します。
- アサヒグループホールディングス
- アクセンチュア
- アマゾン ジャパン
- アース製薬
- イオン
- インテル
- エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ
- オリックス
- オムロン
- カシオ計算機
- キヤノン
- キリンホールディングス
- 京セラ
- コクヨ
- コニカミノルタ
- サムスン電子
- サントリーホールディングス
- ソニーグループ
- ソフトバンクグループ
- 住友商事
- 大和証券グループ本社
- ダイキン工業
- 大塚ホールディングス
- 大林組
- 東芝
- 日産自動車
- パナソニック
- 三菱商事
- 三菱UFJフィナンシャルグループ
- 三井物産
- みずほフィナンシャルグループ
- 任天堂
- リクルートホールディングス
- ローソン
2023年12月時点
まとめ
本記事では、VERSANTとTOEICの違いを比較し、それぞれの試験がどのような方に向いているのかをご紹介しました。
VERSANTとTOEICは、どちらも英語力を測定する試験として、多くの企業や教育機関で活用されています。
しかし、両者の特徴は大きく異なります。
VERSANTの主な特徴:
- 試験の目的:スピーキング・リスニング能力の測定
- 試験時間:約20分
- 問題数:40問
- 問題形式:音声を聞いて話して回答する
- 受験方法:スマートフォン・パソコンで受験可能
- スコアの範囲:10~90点
TOEICの主な特徴:
- 試験の目的:リスニング・リーディング能力の測定
- 試験時間:約120分
- 問題数:200問
- 問題形式:リスニング100問+リーディング100問(計200問のマークシート形式)
- 受験方法:全国の試験会場で受験
- スコアの範囲:10~990点
VERSANTは、TOEICに比べ利便性が高く、忙しい方でも気軽に受験できる試験です。
さらに、外資系企業やグローバル企業では、TOEICよりもスピーキング能力を客観的に評価できるVERSANTが重視されるケースが増加しています。
今後ビジネスシーンで英語を使って活躍したいという方は、ぜひこの記事を参考に、VERSANTに挑戦してみてはいかがでしょうか。
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